The Legend of RANDOLPH

 この曲は架空のゲームのサウンドトラックを想定して、そのゲームのエンドロールをイメージして作曲いたしました。ゲーム中に登場する曲のBGMのオーケストラアレンジメドレー形式になっています。 架空のゲームである『The Legend of RANDOLPH 』のストーリーは下記の通りです。もしよければストーリーも合わせてお読みいただけると嬉しいです。

ストーリー  

 青年エーミールは自然溢れる人口20人程のトラル村で、昼間は両親の農業を手伝い、夕食後 には幼馴染である鍛冶屋の息子クラウスと村長の娘ドーリスと共に丘の上に建つ伝説の勇者が祀られた石碑付近で集まり語り合う、そんな日々を送っていた。エーミールは、平凡な暮らしを送っていたある日、いつも通り農作業を手伝っていると、遠くに見える火口付近からドラゴンのような形の黒い影飛び立つの見えた。エーミールは言い伝えに登場するドラゴンだと確信し、両親そして村長へも話した。しかし100年前に死んだドラゴンが生きているはずがないと信じてはもらえなかった。

 この村にはランドルフという名の勇者を崇める風習があった。言い伝えによるとその昔、この村から北に80km程離れた場所に位置する活火山には、お腹を空かせては周囲を徘徊し、動物や人を襲う巨大なドラゴンが住んでおり、村の人々は人喰いドラゴンと恐れ、身を潜め暮らしていたが、100年程前の大豪雨の日、ランドロフという一人の勇者が立ち上り、誰にも告げず一人で火山へと向かい、自分の命と引き換えにドラゴンを討伐し平和が訪れたという。

 その晩、エーミールは幼馴染のドーリス、クラウスに昼間の出来事を話した。3人は悲劇が再び起こる前に、どうにかするべきだと考えた。ドーリスは、ドラゴンの目撃情報が他にもあれば、皆に信じてもらえるだろうと考え、エーミールとクラウスは様々な地方から人が集まる北東に位置する砂漠の町アルスラーンへ情報を求め、翌朝旅立つことを決意した。  

 翌朝皆が目覚める少し前、クラウスは自宅から剣と盾を2つずつ用意し現れた。見送りに来たドーリスに無事に戻ることを約束し、2人は村を後にした。凶暴な野生の生き物が多く出現する平原を越え、ちょうど日が暮れる頃、2人は砂漠の街アルスラーンに到着した。いつもなら賑わいを見せている街だが、屋外に人の姿はなかった。人を探し酒場へ入ると、人で溢れかえり、ドラゴンの噂で持ちきりだった。その噂の中には、トラル村で逃げ遅れた女の子が襲われたというものもあった。襲われたのは間違いなくドーリスだと2人は確信した。  

 クラウスはトラル村へ急ぎ、エーミールは火山へと向かった。エーミールは平原を超え、険しい火山地帯を進み、火口付近のドラゴンの住処と思われる場所にたどり着つくと、生き物の残骸の先に一人の老人が後ろを向いて立っていた。息を切らしながら老人に何者か尋ねると、老人は100年前に死んだはずの伝説の勇者ランドルフであることがわかった。100年前トラル村に住んでいたランドルフは、村の人々とは違う種族であることや、嫌味な性格から村人達に好かれておらず、自己顕示欲を満たす為、ドラゴン討伐へ挑んだが、トドメをさす直前、日頃から感じていた強い劣等感から、この大きな力を自分のものにしたいと考え、足を鎖で縛り、手当てをし、餌を与え、手なずけたのだった。長きにわたりランドルフは、生き物を狩ってはドラゴンに与えていたが、年老いたランドルフはついに狩ができなくなり、大切に飼養してきたドラゴンを見殺しにできず、鎖を外したという。当然再び人を襲うことになるのはわかっていたが、ランドルフにはそんなことはどうでもよかった。

 エーミールが物音に気づき見上げると、右足でドーリスを掴んだドラゴンが空から現れた。興奮しきった様子のドラゴンにランドルフが近づくと、ドラゴンは尻尾でランドロフを跳ね飛ばし、その衝撃でランドルフはマグマへと落ち、うめき声を上げながら「自分は間違っていた」と言い残し言い姿を消していった。エーミールは目の前の現実に唖然としたがすぐに我に返りドーリスの元へ駆け寄った。ドーリスは震えてはいるものの意識はしっかりしていた。エーミールは暴れ狂うドラゴンを見て今自分がどうにかすべきだと使命を感じ、一人でドラゴンへと挑んだ。激戦の末、エーミールはドラゴンを討伐し、再び平和が訪れた。

 村の石碑に刻まれたランドルフという名前はエーミールへと書き換えられ、エーミールは伝説の勇者として語り継がれることとなった。

作曲・脚本:のぐちとしかず
編成:二管編成オーケストラ(打楽器、ハープのみ打ち込み)
音源:スタジオレコーディング(東京音楽大学レコーディングルーム)
発表:2020年1月

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